『756,000秒』

雨上がり

今年の夏、私たちライフセーバーが監視をしてきた時間です。

一方で、監視期間以外の時間、すなわち――

この30日のために準備してきた時間は、

『28,944,000秒』

数字だけ見れば、その差は約40倍

監視活動で海に立っている時間なんて、1年のほんの一瞬。

でも、その30日のために、私たちは多くの時間を費やしています。

走る日も、泳ぐ日も。

学校やバイトが終わってから集まる日も。

眠い朝も、寒い冬も、誰もいない海で訓練を重ねる日も。

「たった30日」の裏側には、「残りの335日」があります。

だからこそ、海で立つ一日は特別なんです。

レスキューがなくても。

何も起きなくても。

笑顔で帰っていく人を見送れることが、一番の幸せであり成功です。

地域の皆様。

関係機関の皆様。

OBOGの皆様。

全国各地のライフセーバーの皆様。

応援してくださった皆様。

そして、一緒に335日を積み重ねてきた仲間たち。

この1年間たくさんの人に出会い、たくさん支えていただきました。そして、たくさんご迷惑もおかけしました。

本当にありがとうございました。

楽しかったことも、苦しかったことも、悔しかったことも、そのすべてが今の私をつくってくれました。

田舎から飛び出してきて、ただライフセービングに出会いました。

それが始まりでした。

気づけばライフセーバーになっていて、

気づけば鹿嶋という場所が、自分にとって帰る場所になっていました。

高田馬場よりも、下津海岸の石段に居座っていた時間の方が長い。これは内緒です。

私たちは大学生です。

本業は勉強です。

でも、この活動は決して片手間なんかじゃなかった。

もし片手間だったなら、こんなにも悩むことも、苦しむことも、卒業に苦戦することもなかったと思います。(笑)

それだけ、本気でした。

守りたいなにかがあった。

叶えたい未来があった。

この仲間と、この鹿嶋の海を最高の形で残したかった。

そのためなら、自分の持っているもの全部を使いたいと思えました。

人生で、ここまで何かに夢中になれることは何度あるのでしょうか。

ライフセービングに出会えてよかった。

鹿嶋に出会えてよかった。

そして、みんなに出会えてよかった。

きっといつか、人生最後の日に思い出すと思います。

鹿嶋の海で何度も叩きつけられたダンパー。

灼熱の中、仲間を追いかけて走った浜。

顔に刻まれた数々の傷(勲章)。

泣きながら、笑いながら過ごした夏。

そして、隣で一緒に戦ってくれた仲間の顔。

あの時、本気で生きていた時間があったことを。

平井道のり

この夏、私たちが守っているのは、海だけではありません。

お客さんの思い出。

仲間との絆。

鹿嶋という場所への想い。

そして、自分自身が本気になれるという証明です。

756,000秒

は、あっという間に過ぎていきます。

でも、その一瞬を守るために積み重ねた28,944,000秒は、これからも私の人生の財産です。

海の安全を想い続けた日々を、鹿嶋のために尽くした日々を私はきっと忘れません。

ありがとうございました。

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現役のみんなへ

正直、理事長としてもっとできたことがあった気がします。

もっとみんなの声を聞けたかもしれない。

もっと上手に伝えられたかもしれない。

間違えたことも、悩み続けたことも、たくさんありました。

頭脳やフィジカルが誰よりも秀でているわけではない。

チームの上に立つ者として、人に厳しくできるほど強くもない。

誰かに寄り添い続けられるほど、心に余裕を持っているわけでもない。

そんな私に、何ができるのだろう。

何度も考えました。

そして、私にできたことは、誰よりも鹿嶋の海に入ることくらいでした。

みんなより早く海に入り、

みんなより長く海にいて、

誰よりも鹿嶋に来続ける。

チームのために鹿嶋に居続けること。

それくらいしか、私にはできなかった。

でも、それだけは絶対にやめなかった。

海に入れば、それを見た誰かが着いてきてくれると思った。

鹿嶋に来れば、誰かの背中を押せるかもしれないと思った。

言葉で伝えられないことも、姿でなら伝えられるかもしれない。

だから私は、

鹿嶋に来続けました。

それが、私なりの「理事長」だったのだと思います。

そして、私がこの1年間で一番強く感じたのは、

鹿嶋ライフガードチームは、一人の力でつくるものではないということでした。

上に立つ者がいて、練習する者がいて、後ろから支える者がいて、明るい未来を照らす者がいて、先輩から受け継いだものを次へ繋ぐ者がいる。

その一人ひとりがいて、初めて「鹿嶋ライフガードチーム」になる。

だから、みんなには自分がこのチームの一員であることを、もっと誇りに思ってほしい。

誰かに言われたから浜に立つのではなく、

誰かに言われたから頑張るのではなく、

「自分たちの海を、自分たちの仲間を、自分たちの手で守る」

そんな気持ちを、これからも持ち続けてほしい。

ここまで、がむしゃらに走ってきた後輩たちへ。

思い通りにならないことも、悔しいことも、きっとたくさんあったでしょう。それでも、海に立ち向かい、仲間と向き合い、今日まで積み重ねてきた時間は、決して無駄ではありません。最後まで胸を張って、自分たちが思い描く”カシマー”になりなさい。鹿嶋にいればいるほど、鹿嶋の海に入り続けるほど強くなります。君たちの作る夏が楽しみで仕方ありません。

現役としての締めくくりを目前としている先輩方へ。

私たちが今ここに立てているのは、これまで先輩方が繋いできてくださったものがあるからです。それぞれの集大成を、この鹿嶋の海に刻んでください。大きな背中で導いてくださりありがとうございました。4年間お疲れ様でした。

共にこの夏を駆け抜けてきた幹部へ。

嬉しいことも、苦しいことも、悔しいことも、全部一緒に乗り越えてきました。何度も笑って、時にはぶつかって、それでもまた鹿嶋に戻ってこられたのは、みんながいたからです。この夏、そしてこの1年を共に過ごせたことを、心から誇りに思います。

“無事故”おめでとう。そしてありがとう。

私が理事長として、チームの一員としてみんなと過ごせる時間は、いつか終わります。

でも、私が一番嬉しいのは、私がいなくなっても、このチームが変わらず鹿嶋の海に向き合い続けることです。

後輩たちが先輩になり、

今の後輩たちが次の誰かを支え、

今日一緒に笑った仲間たちが、それぞれの場所で鹿嶋ライフガードチームを誇りに思える。

そんなチームであってほしい。

そして、いつかみんなが振り返ったときに、

「あの夏、本気で鹿嶋の海に向き合っていたな」

そう思える時間を、一緒につくれたなら、幹部としてこれ以上嬉しいことはありません。

地域の皆様には、日頃より私たちの活動にご理解とご協力をいただく一方で、様々な場面でご迷惑をおかけすることもあるかと思います。

鹿嶋の海を守るにふさわしいチームであり続けられるよう、感謝の気持ちを忘れず、一人ひとりが自覚と責任を持って、これからも懸命に取り組んでまいります。

今後とも、鹿嶋ライフガードチームを温かく見守っていただけましたら幸いです。

今夏、平井海水浴場に足を運んでくださった皆様、また今夏を迎えるにあたりご尽力いただきました全ての皆様に感謝申し上げます。

来年も平井海水浴場で皆様とお会いできることをライフセーバー一同心待ちにしております。

ありがとう。

長々と綴ってしまいました…最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは。